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2002年米国最高裁「アシュクロフト対表現の自由連合」裁判判決文和訳

もうすでに20年前の判決文です。しかしながらこれからも色々参考になるところがが多いと思います。 2002年のアシュクロフト対表現の自由連合裁判は色々な影響を残しましたが、実在しない未成年に対して実在する未成年と同じ保護を与えるのは表現の自由を歪めるという判断は画期的であり、なおかつ内心の自由なる古い権利を再確認する重要な判決だったと今なお思っています。 この翻訳は弁護士の山口貴士、兼光ダニエル真、enart(敬称略順不同)による共同作業でした。 原文はこちらで確認できます。 裁判については「アシュクロフト対表現の自由連合」で検索してください。 米合衆国連邦最高裁判所No.00 -795ジョン・D・アッシュクロフト司法長官およびその他の申立て人 対 表現の自由連合およびその外の者 2002年4月16日 法廷意見書 ケネディ判事は判決理由を申し渡した。  我々はこの訴訟において、1996年の児童ポルノ防止法(CPPA、合衆国法典タイトル18の2251条以下参照)が表現の自由を奪うものであるかを検討する。CPPAは、未成年者を描写しているように見えるが実在の児童(child)を使用せずに製作された性的に露骨な肖像(image)にまで、連邦法で禁止される児童ポルノの範囲を拡大している。法令は、特定の条件のもとにおいて、これら、未成年者のように見える成人を使用したり、コンピュータ画像処理技術(computer imaging)を使用したりして作られた肖像についても、その所持や頒布を禁じている。議会によれば、新しい技術は、実在しない児童の写実的(realistic)な肖像を作ることを可能としている。議会の答申、合衆国法典タイトル18の2251条に続く覚書参照。  Ferber判決(New York対 Ferber、458 U.S. 747頁 、1982年)は、児童を児童ポルノ製作過程での搾取から守るという国家の利益(公共の福祉)のため、他の性的に露骨な表現と児童ポルノとを区別したものであるが、実在の児童を描いていない児童ポルノを禁止することによって、CPPAはFerber判決が児童ポルノの規制を合憲とした判断の射程範囲を逸脱するものである。同上758頁参照。  一般論として、ポルノは猥褻な場合に限って禁止することが許されるが、Ferber判決は、未成年者が登場するポルノはその肖像についてMiller判決(Miller 対 California、413 U.S. 15頁、1973年)で定義される猥褻の基準への抵触を問題とすることなく、法律で禁止することを肯定している。Ferberは次のように認めている。「Millerの基準は、猥褻であるとして禁止されうるもののあらゆる一般的定義と同様に、児童の性的搾取を促進する者を訴追する国家の特別かつ切実な利益を反映しない。(458 U.S. 761頁)」  我々は次の問題について考証する機会が無かったが、性的行為を行う者の外見上の年齢は、その性的な描写が社会規範に反するかということと関係していると見なして良いと想定する。性的に露骨な行為を行う幼い児童の画像(picture)が猥褻とされるかも知れないのに対し、同様の行為をしていても、それが成人または年長の青少年のものである場合には猥褻とはされないかもしれないのである。しかしながら、CPPAは猥褻な表現を対象とするものではない。議会は、合衆国法典タイトル18の第1460条から1466条によって猥褻表現を禁止している。Ferber判決において問題とされた立法と同様に、CPPAは猥褻の範疇に属さない表現を規制しようとしており、またMillerの基準に適合しようとはしていない。例えば、CPPAによる規制は、例えそれらが充分な社会的価値を持っていたとしても、映画のような視覚的表現にも及ぼされる。  それゆえ、解決されるべき主要な問題は、Miller判決の基準で猥褻と判断されるものでもなく、またFerber判決が規制を合憲とした児童ポルノでもない表現の世界を禁止しているCPPAの合憲性である。 1 1996年以前に、議会は児童ポルノをFerber判決で論じられている種類の描写、即ち実在する未成年者を使用して作られた肖像として定義していた(合衆国法典タイトル18の2252条、1994年版)。CPPAは合衆国法典タイトル18の2256条(8)(A)による禁止を維持しつつ、禁止されるべき表現の範疇として3つを加えている。その3つのうち、第1の2256条(8)(B)と第3の2256条(8)(D)について、この訴訟において合憲性が争われた。2256条(8)(B)は、「性的に露骨な行為を行う未成年者の、またはそのように見える」、「全ての写真、映画、ビデオ、絵(picture)、コンピュータの若しくはコンピュータによって作成された肖像又は絵を含む全ての視覚的描写」を禁止している。「全ての視覚的描写」に対する禁止は、どのようにしてその肖像が作られたかということに全く左右されない。この条項は、「バーチャル児童ポルノ」と時に呼ばれる範囲の描写を禁止しており、これはコンピュータで作成された肖像を含むものである。在来の方法で作られた肖像についても同様で、例えば、法令を文字どおりに読むと、「未成年者が性的に露骨な行為を行うように見える絵」である古代神話の一場面を描いたルネッサンス期の絵画(painting)までもが規制の対象に含まれる。また、CPPAは、例え子役を使って撮影されていなくとも、青年の役者が「実際のまたは擬似の(中略)性交(2256条(2))」行う未成年者に「見える」と陪審員が認定すれば、ハリウッド映画も禁止の対象とする。  これらの肖像は、その製作の過程において児童に被害を与えないどころか、そもそも児童が製作の過程に関与していない。しかし、議会はそれらの肖像がより直接的でない他の方法で児童を脅かすとした。小児性愛者達は、児童が性的行為に加わるように仕向けるために、それらの素材を使用するかもしれない。「成人との性的行為や、性的なきわどい写真のためにポーズを取ることに抵抗のある児童も、他の児童がそのような行為に参加して『楽しんでいる』描写を見せられることで、時に納得させられる場合がある。(議会の答申、合衆国法典タイトル18の2251条に続く覚書(3)参照)。さらに、小児性愛者はポルノ肖像によって「自身の性的欲求をそそられ」、「その結果として児童ポルノの製作と配布、そして実在の児童の性的虐待と搾取を増大させる」かもしれない。同覚書(4)、(10)(B)。 これらの理論的根拠の下では、被害は肖像の製作の方法からではなく、肖像の内容から生じるものとされる。それに加えて、議会はコンピュータで作成された肖像によって生じる別の問題を指摘した。これらの存在は実在の児童を使用しているポルノ業者を訴追することを難しくする。同覚書(6)(A)参照。議会は、画像処理技術が進めば、ある絵が実在の児童を使用して生産されたということを証明することがより難しくなるとしている。実在の未成年者を使用した児童ポルノを所持している被告が訴追を免れないようにするために、議会はバーチャル児童ポルノにまで禁止の範囲を広げた。  2256条(8)(C)は、バーチャルな肖像を作成するためのより一般的で程度の低い技術的手法を禁じている。この手法はコンピュータ・モーフィング(訳注:コラージュ)として知られる。ポルノ製作者達は、自ら肖像を作るよりむしろ、実在する児童の無垢な画像を、その児童が性的行為を行っているように見えるように改変することがある。モーフィングされた肖像はバーチャル児童ポルノの定義の範囲内に入ると言ってよいのであるが、実在する児童の人権と結びついており、その意味においてFerberの判決における肖像により近い。被上告人らはこの条項については違憲性を主張しておらず、我々もこの点については判断をしない。  被上告人らは2256条(8)(D)の違憲性を主張している。「のように見える」という条項の文のように、この条項の適用される範囲は極めて広い。2256条(8)(D)は児童ポルノを、「性的に露骨な行為を行う未成年」を描いている「との印象を伝えるような方法で広告、宣伝、上演、描写または頒布」された、あらゆる性的に露骨な肖像を含むと定義している。ある委員会報告では、この条項は、児童ポルノとして触れ込みをされた性的に露骨な肖像に向けられているとされている。上院報告.No.104-358、22頁(1996年)参照(この条項は、児童ポルノ製作者と小児性愛者が、児童ポルノとして触れ込みをされる露骨に性的な肖像の製作または頒布を通じ、児童の性や性的活動への好色的興味につけ込むことを妨げている)。しかし、この法令は触れ込み行為に関係していない所持者ですら罰するものであり、適用範囲はそのようには限定されていない。即ち、一度ある作品に対し児童ポルノというレッテルが貼られると、別の所持者の手に渡った場合にも表現自体に児童ポルノであるという属性が残り、例えその他の点ではいかがわしくない場合においてすら、その所持は違法となる。 被上告人である表現の自由連合その他は、CPPAがそのメンバーの活動を脅かすのを恐れ、California北部を管轄する連邦地方裁判所に提訴した。成人娯楽産業のCalifornia同業者組合である連合は次のように申し立てた。即ち、そのメンバーは、自身の性的に露骨な作品に未成年者を使用していないが、その素材のあるものがCPPAの拡大された児童ポルノの定義に含まれるかも知れないと信じている、と言うのである。他の被上告人は、ヌーディストの生活様式を擁護する本の発行者であるBold Type社、裸体画家であるJim Gingerich、官能的(erotic)肖像を専門としている写真家のRon Raffaelliである。被上告人達は、「のように見える」と「印象を与える」という規定が過度に広汎かつ曖昧であり、修正第1条による保護を受ける作品の製作を萎縮させると主張した。連邦地方裁判所はこれを認めず、政府に有利な略式判決を下した。裁判所は、「『ロミオとジュリエット』のような性的作品のいかなる改作も『禁制品』として扱われるということは『殆どありえそうもない』という理由で、規制範囲が過度に広汎であるが故に違憲無効であるとの主張を退けた。 App. to Pet. for Cert.62a-63a. … Continue reading

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Tokyo Begins Moralizing of Manga

Many of you have asked information regarding Tokyo’s recent decision to brand Imōto Paradise! 2 as harmful minors under the new guidelines that were created when Bill 156 was passed in December of 2010. I’ve provided my feedback on this issue … Continue reading

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Orwellian Obscenity

‘Who controls the past,’ ran the Party slogan, ‘controls the future: who controls the present controls the past.’ -George Orwell, 1984 On April 19th, the offices of Core Magazine were raided by the Tokyo Metropolitan Police. The news regarding the … Continue reading

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Authority’s Authority

The last few entries of this blog has concerned itself with recent moves to increase censorship in Japan. Some examples of these include increased enforcement of obscenity laws (possibly as a consequence of Tokyo’s bid to hold the Olympics in … Continue reading

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Quick update: Bill to Expand Child Pornography to include Anime and Manga still on Table.

I am very sorry but I am very busy and unable to write about the recent developments regarding the Japanese Child Pornography Revision Bill. As I have written before, the bill has been shelves for the current session of the … Continue reading

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The Chilling Effect – How Censorship Begins without Censorship

Censorship thrives on fear. Sometimes the mere threat of censorship arising can cause businesses to change policies and authors to avoid certain subjects. This is particularly true in cases where the legal boundaries are left extremely vague and enforced unevenly. … Continue reading

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The Uneasy Ceasefire of 2012: Revised Tokyo Ordinance’s Current Status

I’ve had many people ask about what’s going on with Bill 156. If you are not familiar with Bill 156, please read THIS and THIS. In a nutshell, Bill 156 expanded Tokyo’s power to regulate manga and anime (and some … Continue reading

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March 11th, 2011 – The Day Japan’s Axis Shifted

Many commentators overseas and specialists on Japan have talked about how the March 11th Tōhoku Earthquake and Tsunami might be counted as major events along with the 1868 Meiji Restoration and the 1945 Japanese Defeat of World War 2. As … Continue reading

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The Lull Between the Storms – 2011 Update

Hello everyone. I’m sure you are wondering what’s been going on in Japan. I have mostly good news. Our book sold damn well at the Comic Market. 1000+ copies in less than two hours is pretty good, I’d say. We … Continue reading

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Monkey Business – Counterattack on Bill 156, Doujin Style

[Breaking News: Exclusive Preview of An Idiot’s Guide to Tokyo’s Harmful Books Regulation is now on ANN] Here is a long awaited update to what’s going on in Japan. If you want to skip ahead to the meat of the … Continue reading

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